5月19日深夜

高校生時代というのはバンドなんかに憧れる時期で、当時のクラスメイト達もこぞってギターだベースだドラムだと楽器を購入、練習、挫折という道のりを辿っていた。そんな同級生達を横目にボクはひたすらお金を稼ぐ生活をしていて、楽器に憧れる気持ちはあったものの練習する時間もそこまでの興味も無かった。だけど、大学に入って余裕もできた時期に月琴を買ったのですよ。家で暇さえあれば弾いてる。ぽろぽろ弾く感じで。
今朝、学校へ行く道中で元クラブメイトのイノウエ君と一年ぶりくらいに会った。彼は就職活動も順調で、しかし公務員を目指すらしい。イノウエ君は部内でも特に仲の良かったオオタ君、当然ボクも仲がよい、の話題を出し「あいつ公務員落ちて欲しいな」と言っていた。こいつは相変わらずおもしろき奴よのうと思った。
バイトへ行き、終わってから酒を飲んだ。変てこな居酒屋に入ったらやたらと天井が低く、頭をごつんとぶつけて思わず「いてて」と言うと店員さんにくくくと笑われて、お顔が真っ赤っ赤になったのだけど、店員さんが来るたびに同じところでごつごつ頭をぶつけていたので、ボクは「そのボケは天然物ですか?それとも演出ですか?」と尋ねたところ、「これは残念ながら天然物です。いてて」とおっしゃられたので、あははと素直に笑った。
帰宅してベッドにごろんと横になったらば天道虫がのそのそ歩いていて、貴様は誰に断って人のベッドで休んどるんじゃいと摘み上げ、窓から放り投げた。ら、ぶいーんと飛んでまた部屋に舞い戻ってきたのでボクは月琴をじゃかじゃか鳴らし、天道虫の歌を歌った。